Snow White


#3 亜矢







最近、ふと思ったことがある。
水沢君は……どうしていつも寝てるんだろう、と――――






「―――で、あるからしてだな。ここが―――」
授業中。
先生の説明する声と、生徒達がノートを取る音が響き渡っていた。
それは、言ってみればごく当たり前の風景。
私もノートに黒板に書いてあることを写していく。
黒板からノートへ目を落とそうとした時に目に入った水沢君の姿。
周りとは明らかに違うその姿。 机に突っ伏すようにうずくまっている。
今日も……寝てるんだね。
あの日――水沢君と知り合った日からはや数日、授業中彼が起きているのを見たことが無い。
朝の一時間目から午後の六時間目までずぅっと寝てる。
凄い時は休み時間までも……学校に居る間中も……
始めのうちは先生が起こそうとしてるけど、それでも水沢君は起きない。
揺すぶっても、頭を叩いても。
そして、今この瞬間も――。
「……ん。水沢は今日も睡眠中か〜?ったく本当にしょうがないヤツだなぁ」
水沢君、いつも寝てるけど勉強とか大丈夫なのかなぁ? なんて心配も、次の先生の一言で一気に解消。
「これでテストで結果を残してるんだから信じられん……睡眠学習でもやってるんだろうか?」
……凄いね。
「噂だと何かやってるらしいけど……まぁそんな事はどうでもいいか。 んじゃ、続きをやるぞ」
先生が呟いた一言。
水沢君、何かやってるのかな?


「え?水沢君が寝てる理由?なんでそんなこと私に聞くわけ」
「えっと、美香なら知ってるかなって思って」
「あのねぇ、人の事情を私が知るわけ無いでしょ〜」
「あ……そうだよね」
「そうだよねえって亜矢……分かってたなら尚更聞くなー!」


「う〜ん、一体何やってるんだろう?」
結局、何も分からずじまいのまま放課後になっていた。
まだ教室に残っている美香に声をかけて一人学校を後にする。
自分でもよく分からないけど、気になってしょうがない。
いつも学校で寝てる水沢君が、学校でない時は一体何をやってるのかが。
そのまま家に帰っても頭から抜けなかった。
うわ〜相当のめりこんじゃってるね。 いつもはあんまり人のこと気にしないから余計なのかな?
その所為で、お母さんに少し前から呼ばれてるのに気が付かなかった。
「さっきから呼んでたのに返事しないで、どうしたの?」
「あ……別になにも。ちょっと考え事してたんだ」
「考え事?なにか悩んでることでもあるの?」
「ううん。悩み事じゃないよ。ホントにちょっとした事だから」
「そうなの……ならいいけど。何かあったらちゃんと言ってよね。何か起きてからじゃ遅いんだから」
「は〜い。分かりました」
「……あっそうだ。亜矢呼んだのはその事じゃないのよ。亜矢、今手開いてる?」
「えっうん。暇だけど」
「ちょっと手が離せないから、代わりに買い物にいってきてくれないかな?」
「お買い物?」
特にやることも無かったし、二つ返事でOKして夕陽のまぶしい外へと出て行った。
オレンジ色に染まる空は何ともいえない綺麗な色。
その空に掛かる雲と、もうすぐ沈みそうな太陽。
それらを背にして商店街へと歩いていく。
幸い頼まれたものもすぐに買えたし、何だかあっという間だったけど買い物は終了。
さぁ、帰ろう……と思った時、ふと視界の端にどこかで見たような人影を見つけた。
あれって……もしかしたら―――
「水沢……君?」
そこには、どこかのお店らしい制服を着た水沢君が驚いた表情でこちらを見ていた。
「う、浦佐?」





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