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f hear
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―― 丘野 ひなたのジャンプ力 ――
「うにゅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅー!」
ある日、ドカンと言う衝撃音が聞こえたかと思うと、ひなたの叫ぶ声が聞こえた。
その叫び声が人間が発するようなモノじゃない事はあえて言わないでおく。
……ったく、あいつは何をやってるんだ?
「近所メイワクになるからその大きな声でヘンな鳴き声を出すのは止めてくれ」
「お、お兄ちゃん……ひどいよぉ」
床に座り込んでいるひなたは、涙目になりながら頭にてっぺんあたりを手で抑えていた。
ぐっすんひなた、か?
「んで、一体何が起こったんだ?」
「頭をぶつけたんだよ……」
そりゃ見れば分かる。第一頭を抑えてるんだから。
これで腹をぶつけたなんて言われたら何て突っ込めば言いか分かったものじゃない。
「転んだのか?」
「ちがうよぉ。靴を脱いで、ピョンと飛び上がったら天井にぶつかっちゃったんだよ〜……」
「……天井?」
ちらりと上を見上げる。
我が家の天井――俺が手伸ばしたって届かないぞ?
ましてや、俺より背の低いひなたが届くなんてありえない。
とするとやっぱり……
「また《ちから》使ったろ?」
「自分で使おう何て思ってないのに……」
ひなたの《ちから》、お転婆のこいつにはまさにピッタリのものだった。
跳躍力。
それがひなたの場合、人外レベルまで飛び上がる。
こいつがいたら運動会とかの玉入れなんて勝負にならないかもしれない。
「なぁひなた。どれくらいまでジャンプできるんだ?」
「え?う〜ん……そんなの計った事ないから分からないよ」
「んじゃあ、試してみるか?」
「今から?」
「もちろん」
「え〜っ!?もうすぐお夕飯の時間だよぉ!ひなたお腹すいた〜」
「そう言うなって。ひなたの好きなモン作ってやるから」
「ようっし!すぐに行こう!!」
相変わらずの変わりぶりに、言った俺も半分呆れながら2人で外へ。
夕闇迫るオレンジ色の空の下。マンション近くの坂に降りていく。
都会に住んでた頃はこんな時間帯だと人とか車が多かったけど、ここは朝以外はほとんど人が通らない。
「いっくよー!!」
無駄に元気になったひなたが、大きな声を出す。
……夕飯だけで食料が倍は減りそうだな。
「そぉ〜れ!!」
バッと飛んだかと思うと、そのままドンドン上がっていく。
もうひなたの足が俺の頭を軽く超えていった。
ホントに高く上がっていくもんだな〜。
「へへ〜、どうだった?」
軽い音と共に地面へと帰ってきたひなたが、嬉しそうに言った。
あれだけ高くジャンプしてるのに、足を痛めないんだろうか?
つくづく謎な《ちから》だ。
「随分上がったな。お前本当は人間じゃないんじゃないのか?」
「お兄ちゃんほどじゃないよ〜」
ズビシッ
「うにゅっ…」
天誅。
「い、痛いよ……」
「お前が変な事言うからだ」
「うにゅう……」
うにゅうにゅといじけはじめたひなた。
はぁ、もう仕方ないなぁ。
「ちゃんと約束通りお前の好きなもの作ってやるから、機嫌直せって」
「……ホント?」
「嘘は言ってないっての。ほら、早くしないと夕飯変えるぞ」
「あっま、待ってよー!!お兄ちゃんから言い出したのに〜!!」
後ろでひなたがぶーぶー言ってる。まぁこれもいつもの事だし。
それにしても、風音の街って言うのはホント不思議だよ。
みんないろいろな力を持ってる。
俺は、一体どんな力を持ってるんだろう……?
「えいっ!!」
と後ろでひなたの声がしたかと思うと、突然上から俺の目の前に降ってきた。
「追いついた〜」
「……上から降ってくるな。ビックリするだろ」
「えへへ〜」
とりあえず、いつものように突っ込んでおく事にしよう。
……と思ったけど、今日はやっぱり止めた。たまには、このままってのも悪くはないか。
「お兄ちゃん」
「なんだ?」
「ひなた、お腹すいたよ〜」
「あぁ、分かった分かった。ちゃんと美味いモン作ってやるから」
それから、後になって俺は自分の《ちから》を知る事になる。
他に人にはない《ちから》俺が身に付けていたのは―――――
PCゲーム『Wind -a breath of heart-』より
もどるよ〜