35、〜話数の最後〜




秋という季節。それも半分過ぎた。
俺が自分の心と素直に向き合えるようになって、ニ人とのギクシャク感もとれて、また穏やかな日常がやってきた。
今更ながら、何たらの秋と言う言葉がある。
人によっていろんな秋になろう。
芸術の秋、読書の秋、食欲の秋、これは少なそうだけど勉強の秋などなど……
その中で俺はそれらに属さない秋になった。

―恋愛の秋―

……これは勝手に尚哉が命名したもの。
自分の思いに素直になれ、と言ってこうなった訳だ。
まぁあながち間違えちゃいないんだけどね。
今まで心の何処かにあったもの。
尚哉に言われて向かい合えた気持ち。
もう後戻りは出来ないし、しようとも思わない。
後は、俺の行動次第――――



時々不安に思うことがある。
あたしは、はじめを好きだということに自信をもてるのだろうか?
別に諦めたわけじゃないけれどふと考えてしまう。
はじめはあたしの事をどう思ってるんだろう?
どうじにひかりの事をどう思ってるんだろう?
あたしは……本当に自分の恋を実らせる事ができるんだろうか……?
そんな思いで頭がいっぱいなこの頃。
でもそう思ってるはずなのに……
どうしてもあることが頭に浮かんでしまう。
それは―――



私は、はじめの事が好き。
これは小さな頃から変わらない事実で、これからもそう思っていきたい。
こうやって再会できたのもそのお陰かもしれないしね。
十一年前からずっと、私はあることを考えてきた。
はじめがいなくなった時から、ずっと……
それを考えるたびに心が苦しくなったよ。
自分って言う存在が嫌になったよ。
自分を解放したいって訳じゃないけど、伝えたい事がある。
胸に秘めたこの気持ち、この想い。
ちゃんと、届くかな……はじめに―――



やれやれ、俺は本当にお人よしだな。
今はなんとも思ってないけど、俺だって昔は……
ふぅ、昔の事を考えるなんて俺らしくもない。
自分でこの道を選んだんだ。後悔はないし後残りもない。
俺はただ、あいつの親友として幼馴染として、幸せになってほしい。
叶えられなかった俺の為にも……
横一にはあぁ言ったけど、俺だって決断しなくちゃいけないことあるんだぞ。
ある意味、自分と重ね合わせてるかもしれなな―――



秋津さやかと千堂ひかり。
どちらも俺の幼馴染で、どちらも……俺のかけがいのない人。
……初めて言ったかもしんないな。
自分の口からこう言ったのって。
何か気恥ずかしいな。
でもそう言ってられない。
俺は自分の口で言わなくちゃいけないんだ。
今まで心の中にあった気持ちを。

そして、俺が本当に好きな人、とは―――――――


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