〜6、両手に花!?〜
最近ちょっと気になる事がある。
何かいろんな人にジロジロと見られてる気がするんだが……
それが好意的な視線ならいいんだが、どうもこれはそうではないようだ。
突き刺さるというか、なんか気分が悪い。
「どうしたのはじめ。何か考え事?」
「あぁ……まぁ、な。何だかこの頃変な視線を感じるんだよ」
「はぁ? なによそれ」
「このクラスの連中から、あまりいいようには見られてないようだ」
特に、野郎連中からはな。
きっと最近感じる視線はこいつ等からのものだろう。
「そんな事ないわよ。はじめって、結構他の女の子から人気あるんだよ」
「そう言われてもなぁ。俺は解らない」
「中学校のときとか、去年とかよくはじめに告白しに来たりした子いたじゃない」
「う〜ん…」
確かに、そんな事もあったっけなぁ。
全部断ったけど。
まったく面識がないのに好きといわれても……正直困る。
キーンコーンカーンコーン
そんな事を考えてる間に休み時間が終わった。
次の時間はLHRだ。
基本的に何もやるとこがないから、いつも四人で雑談している。
「ん〜、尚哉なら知ってるかな?」
「んあ? 俺がどうかしたか横一」
「まあ……ちょっとな」
「はじめはね、皆から嫌われてるんじゃないかって思ってるんだって」
俺の変わりにさやかが言った。
いや、別に嫌われてるとかそんなんじゃないってば。
「えっ?はじめ……嫌われてるの?」
「ひかりまで…。だから、そうじゃないってば」
俺が気にしてるのは、視線の事なんだがなぁ。
「横一が嫌われてる? 一体誰から」
「ウチのクラスみたいよ」
さやかの言葉に、少し考え込む尚哉。
でもすぐに答えが出たみたいで、ポンと手を打った。
「――あ〜、あの事か。安心しろ横一。嫌われてるわけじゃないぞ」
「は? あの事ってなんだ?」
「ようはな……嫉妬してるんだなぁこれが」
「嫉妬だって? 何で俺が嫉妬されなきゃいけないんだ」
「実際には俺も含まれてるんだが……横一、お前さやかやひかりといつも一緒にいるだろ?」
「あ? あぁ……そりゃ当然だよ。それが何か?」
「うちの学校で、一番人気のある女子って誰だと思う?」
「ンな事知るわけないだろ」
「…さやかとひかりだ」
「えっ!?」
「…私が?」
どうやら本人達は知らなかったらしい。
俺もビックリだ。さやかとひかりって人気あったんだなぁ。
って言うかひかりはまだこの学校に来て日数経ってないんだが。
確かに二人とも可愛いとは思うけど、まさか学校中でも人気があるとは……
「それで、二人が人気があるのと俺と何の関係があるんだ?」
「……ここまで言ってまだ気づかないか?」
「何がだよ」
「学校で人気のある女子と、何の気兼ねなく話せる俺たちが羨ましいってことだよ」
「……あー」
な〜るほど、そう言うことか。
「どうだ、解ったか?」
「おう。でもな、それだったら他のやつらも普通に話せばいいのになんでそうしないんだろう?」
「それが出来ないから話せる俺達の事を嫉妬してるんだろ」
「ひょっとして、俺たちって学校の中じゃ浮いた存在?」
「とっくの昔からな。自分で言うのも変だが俺達はある意味校内の人気者だな」
うわ〜、あまり嬉しくないな。
それは尚哉だけで十分だろう?
自分まで含まれてるとは……。
「一応去年からそうだったけど、この間の一件からさらに広まったぞ」
「この間の一件って?」
はて、なんかあったか?
「ひかりが来たとき。ほら、いきなり抱きついて押し倒したろ」
「あぅっ……」
思い出したのか、ひかりが真っ赤になって俯いてしまった。
俺も少し恥かしい…しかも、それがすでに学校中に知れ渡っているとは……はぁ。
「これは俺の推測だが、この学校内で俺たち四人の名を知らない奴はいないと思うぞ」
もはや何も語ることはあるまい。
「あたま痛くなってきたわ」
さやかも額に手を当てている。
「私、まだここに来たばかりなのに〜」
今日は“ある意味”いい事を聞いた日だった。
・・・・放課後・・・・・
「はぁ〜…やっと帰れるよ。さやか、ひかり、尚哉。帰ろうぜ〜」
いつものように三人を誘って帰る。
普段ならテニス部に行くんだけど、今はまだ捻挫が完治してないので自宅療養だ。
「今日も家に寄っていくだろ?」
「うん」
「ついでに、横一宅で飯でも食っていくかな」
「じゃあさ、みんなで一緒に食べようよ。私ご飯作るよ」
「あっ、それならあたしも手伝おっかな」
当然のように話が決まっていく。
ひかりがこっちに来て以来、俺は一人でご飯を食べる事が少なくなった。
一週間のうち、ほとんどがひかりと食べたり、今日のように四人で食べたりしている。
「んじゃあ、買い物でもしていくか」
鞄を持って帰ろうとした時、ふいにドアを開けて先生が入ってきた。
「おーい、穂刈はいるか?」
「…俺に何か用ッスか?」
「新聞部が呼んでるぞ。確かネタはまだか、とか言ってたような…部長が言ってたぞ」
それを聞いた瞬間、尚哉は“しまった!”って顔をしてる。
「げっ忘れてた!! 無視ッたらあそこの部長に血祭りにあげられちまうよ。横一、スマンが先に行っててくれ。んじゃな!!」
「へっ!? おぉ、じゃあな……」
あっという間に尚哉が見えなくなる。
新聞部の部長って確か長岡さん――って言ったっけ?怖いのかな?
「…ふぅ。さて、帰るか」
「えぇ」
「うんっ」
結局、この後尚哉は姿を見せなかった。
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