〜4、始まりは爽やかな朝とともに〜
チュンチュン……チチチ
「ん……あ……朝だ」
ある意味地獄とも思えるような夜が明け、太陽の光が窓から入り込んでくる。
結局あの後ずいぶんいろいろあったが、無事に眠れたようだ。
でも正直言えば眠くて仕方がない。
完全に寝不足……
でもそんな事も言ってられない。起きないとな。
「さて、二人を起さないように―――あ」
ゆっくり身体を動かそうと思ったけど、そうもいかなかった。
両腕に掛かる柔らかい圧力。
忘れてた……腕をつかまれたままだった。
こっちに顔を向けて寝る二人はとても幸せそうな顔をしてる。
これで起しちゃうのはちょっと可愛そうだよな。
「……さて、どうしたものかな」
しばらく考えてみる。
うーん、俺ももう少しだけ寝ようかな?
実際まだ眠い事に変わりはないし。
何より今日は休みだし……な。
目をつぶってから意識がなくなるまでそんなに時間はかからなかった。
『…じめ……よ…きて』
…誰かが何かを言っている。
目を開けると、すぐ目の前にさやかの姿があった。
「あっ、起きた。……おはよ。はじめ」
「おぅ………おはよう」
「よく眠れた?」
「よくも何も……両方から吐息やら寝言やらで寝れなかった。まぁ、それでもいつの間にか寝れたみたいだけど」
「えっ、そうだったの?」
「ああ。おまけに二人揃って俺の腕を掴んで寝るもんだから身動きすら取れなかったぞ」
「…何もしてないでしょうね?」
「するか。それに、両腕を固定されてるんだから何もできるわけないだろ」
そうね、と言って笑うさやか。
とてもそれをやっていた張本人とは思えないな。
「それにしても、まさか一緒に寝るとは思わなかったわよ。しかも一つのベットで三人一緒に寝るなんて」
「まぁ正直俺もな。最初はびっくりしたけど……でも、ひかりらしいと言ったら、かなり納得できた」
「…どうして?」
「子供の頃も、よくこうやって一緒に寝たことがあるからさ」
「ふ〜ん。そうだったの」
さやかと寝たまま話をしてると、隣でモゾモゾと動く感じが。
しばらくして声が聞こえてきた。
「ぅ…ん……に?………ふぁ〜ぁ、おはよぉ〜はじめ…さやか」
どうやらひかりもお目覚めみたいだな。
「おはよう」
「よく眠れたか?」
「…うんっ。ぐっすり寝れたよ〜」
「それじゃ、みんな起きた事だし着替えるか」
「そうね。朝ご飯作らないと……はじめ、着替えてるトコ覗いたら責任とって貰うわよ」
「責任って……一体なんのだよ。それとな、ひとつ言いたいんだが二人ともいつまで俺の腕を掴んでいるんだ? 離れてくれないと起き上がれないんだが……」
「「あっ」」
『あっ』って、ひょっとして今まで気づかなかったのか?
ゴメンと謝りつつ離れる二人。そしてようやく開放された俺の両腕。
……うぅ、拘束されてたせいか腕があまり動かない。
「ごめんね。腕……大丈夫?」
「まぁ大丈夫だって。それより着替えるんだろ? 俺は風呂場で着替えるから終わったら呼んでくれ」
「あ、うん」
着替えを持って風呂場に移動。
いつもなら服脱いでさぁ風呂だ〜って感じだけど……今日は着替えるためにきたんだし。
でも、風呂場で着替えってのもなんか違和感があまりないな。
普段風呂に入るときに脱いだりしてるからだろうか。
そんな事を思いながら寝巻き代わりのTシャツを脱ぐ。
その時居間の方から二人の会話が聞こえてきた。
ちょうど二人も着替えているんだろう。
勿論、ここからは見えるなんて事はない。
「私ね、本当は結構緊張してて寝れなかったんだ」
「えっそうだったの?」
「うん。一応は寝付くんだけど、すぐにまた目が覚めちゃって……寝付いたのは朝方だったんだよ……」
「あたしは別にそうでもなかったな。はじめの隣で寝るのは初めてだったけど、何度かここで寝たことあるし」
「えっ……ここで寝るって、はっはじめと……その…」
「えぇっ!? や、ちっ違うって! そんなんじゃないから……は、はじめとは幼馴染だし。それに、寝るって言っても……」
「あっそうだったんだ〜。よかった……」
「良かったって……ひかり〜、一体何を考えていたのかなー?」
「あっひゃっ!……ちっちょっとさやか〜くすぐったいよぉ!!」
……俺、まだ出れそうもないですね。
さて、着替えも終わって朝ごはん。
三人でテーブルを囲っているときだ。
俺は少し気になった事があったのでひかりに尋ねてみることに。
「ところで、ひかりは今日は予定とかってあるの?」
「う〜ん、特にはないけど。どうして?」
「近所を案内しようと思ってさ。引っ越してきたばかりでこの辺の地理とかよく解らないだろ?」
「いいの? ありがとうはじめ」
「勿論さやかも行くよな?」
「えぇ。はじめがひかりを変なところに連れ込まないように見張っておかないと」
「おいおい。ンな事するわけないだろ」
「どうだか」
俺とさやかのやり取りを見て、クスクスと笑うひかり。
朝食を食べ終えて、準備を整えるとひかりを案内するために俺達は家を出た。
今日の天気は雲一つない快晴!
どこまでも続く青い空と、桜が咲き乱れるなかを俺たちの会話が飛び交っていた。
どこかで鳴いている鴬の声とともに―――
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