〜3、お・泊・り・♪〜
「では、ひかりの歓迎と、四人の友情を祝って、かんぱぁ〜い!!」
「「「かんぱぁ〜い」」」
さやかの第一声で『千堂ひかり歓迎会兼友情記念会』は、わいわいと始まった。
こう言うときのさやかって“超”が付くほど気合が入っている。
先ほど涙を見せたひかりも今では笑顔でいっぱいだ。
「そう言えばさ、ここに来てからのはじめってどんな感じだったの?」
「ん〜そうね。この際だから全部まとめて話しちゃいましょう」
「わっさやか止めろって! 人のプライバシーを」
「まずはね……」
あー、人の過去をそんなあっさりと……
ひかりの知る俺とは全然違うんだからさ、その……もう少しオブラートに包むようにと言いますか……ああ……駄目ですかそうですか。
最初は笑ってたひかりだけど、だんだん目が点になって来てる。
いや、その話はどちらかというと尚哉がメインだろうに……もう、いいや。
この後は俺の昔話などで盛り上がったり、尚哉が途中で壊れるなどして大いに楽しんだ。
時間ってのはあっという間に流れるもので……気が付けば10時を回ろうかというところ。
「あら、もうこんな時間だ。でもどうせ明日は学校お休みだし、今日ははじめの家に泊まっていこうかしらね」
「おっそれいい考えだな。という訳で横一、泊めてくれ」
「横一って言うな。それに泊まる事はもとより着替えはどうするんだ? 後連絡とか」
すると二人は、鞄の中から着替えのTシャツやパジャマを取り出す。
この二人は元から泊まる気だったらしい。
まぁ毎度毎度なだけにもはや気にすらしてないけどさ。
「一応聞いておくけど、さやかは親の許可を取ってあるのか?」
「勿論大丈夫よ。よく泊まってるし、お母さんなんかもう嬉しそうで……娘の事が心配じゃないのかしらね? か弱い乙女が男の子の部屋に泊まるって言うのに」
……誰がか弱い乙女だよ、誰が。
なんてのは本人に言えるわけないので黙っておく。
――とまぁ、それは置いといて。
やっぱりさやかのお母さんはちょっと変わってるよな。
あれは去年の夏、一人暮らしを始めた俺の家にさやかと尚哉が遊びにきた折、『泊まってもいい?』と試しに聞いたら“即”OKが出たという。
夜中に若い男女だけだぞ? 何か起こっても不思議じゃないのに……いや、しないけど。
……言っておくが、ホントに何も起こってないぞ。
にしても、年頃の娘の外泊をあっさりと許すとは何とも無謀…いや、なんと寛大な人だろう!
でも、俺の家以外はダメみたいで……ってことは、よっぽど信頼されてるんだな……俺って。
「解った。それで、ひかりはどうする?」
「みんながそうするなら、私も泊まっていこうかな? あっそれなら着替え持ってこないとね。ちょっと待ってて」
ひかりがドアを開けて出て行ったかと思うとものの数分もしないうちに戻ってきたので、疑問に思ったさやかがひかりに尋ねた。
「随分早く戻ってきたのね。ひょっとして家はすぐ近くなの?」
「うん。だって隣だもん」
「と、となり!?」
さやかが驚いている。
そりゃそうだよな、俺だって聞いたときはビックリしたし。
「………………」
「な、なんだよ……」
すぱぁ〜ん!!
「いってぇ!? なんだよ急に……」
「それなら、お風呂はひかりの部屋の借りようかな。覗かれる心配がないし」
「えっ、はじめ……覗いちゃ嫌だよ」
「誰が覗くかっ。んな趣味は無い!! って言うか何で叩いたんださやか。理由を言え理由を」
それには応えず、はいはい〜と言ってひかりの背中を押していくさやか。
なんだよ……叩かれ損か?
「はぁ…やれやれ。尚哉、先に風呂入っていいぞ。俺は後片付けするから」
「ん、そうか。わかっ―――」
〜♪〜〜〜♪〜〜♪〜♪〜♪
尚哉の鞄の中で何かが鳴ってる。
どうやら電話が掛かってきたようだ。
「電話だな。ったく誰だよこんな時間に……はい、もしもし」
誰だろ。親御さんかな?
「…なにっ!? そうだったのか……わかったすぐ行く」
電話を着るや否や、もってた着替えを仕舞い始める尚哉。
すぐ行くって……まさか帰るのか?
「横一、俺は緊急の事で帰らなくてはいけなくなった。って言うか遠征してくる」
「ど、何処まで?」
「大甕! なんか日立電鉄が廃止だと」
「は、はぁ…(大甕って何処だ?)…まぁよく分かんないけど、また電車の事だろ? それと、何度も言うが横一って言うな」
俺の言うことに全く気にかけずに荷物をまとめると、尚哉は急いで帰っていってしまった。
ホントに趣味一直線と言うか。
まぁそれが尚哉って感じだよなぁ………ふぅ。さて、俺も風呂に入るかね。
「ふぃ〜〜……」
やっぱり風呂はいい。疲れが癒されるって感じだ。
しばらくゆったりのんびりしてると、外のほうで音がした。
ガチャ…ごそごそ……
どうやら二人とも戻ってきたみたいだ。俺も上がるかな。
風呂から上がって髪の毛を拭きながら居間に戻ると、さやかとひかりが座って話をしていた。
それはいいんだが、なんでパジャマなんだ?
「あっはじめ。尚哉の姿が見えないけどどうかしたの?」
「あー、尚哉なら大甕がどうとかで帰ったぞ」
「ふ〜ん。じゃあ今夜は三人で寝るのね」
あぁそうだよな、俺とさやかとひか……ん?
サンニン…?
…ってちょっとまて。何か凄くヤバくないか?
今までは尚哉がいたからよかったけど、よくよく考えてみると……
ここに残ってるのって男は俺だけで、かつ女の子は二人。
うん。十分過ぎるほどにマズイ。
「ちょっとはじめ。さっきから一人でぶつぶつなに言ってるの?」
「いっいや別に……た、ただ懐かしいな〜って思っただけだ。こうやって、またひかりに会えたんだからな」
とりあえず誤魔化しておく。
「私も、はじめとまた会えて嬉しいよ♪」
ひかりも嬉しそうにしてるから……まぁ、いいか。
風呂上りともあってまだ眠気が来なかったのか、それから三人で話をしていた。
日付が越えるのも忘れてしまうくらいに。
「ふぁ〜………もうこんな時間か。そろそろ寝るかなぁ」
「そうね。明日は休みだから、お話はその時でもできるし、寝ましょうか」
「それじゃあ、さやかとひかりはベットで寝ろよ。俺は床にでも寝るからさ」
ちなみにこれはいつもどおりの流れだ。
さやかがベットに寝て、俺と尚哉が床で寝ると。
でも、ひかりには初めての事なので驚いてるみたいだった。
「えっ……それだとはじめが可愛そうだよ。床で一人だなんて。それだったら三人で一緒に寝ようよ」
……………
「なっ!?」
「ち、ちょっとひかり!?」
一瞬間があいた後、俺とさやかは同時に叫んだ。
「ひかり、はじめはいくら幼馴染とかそう言うのでも、一応男の子よ? 一緒に寝るのはちょっと……」
「大丈夫だよ〜。ね? はじめ。小さい頃はよく一緒に寝てたもんね」
ニパッと笑うひかり。
つられる様に思わず頷いてしまった。
「…えっ? あ、あぁ」
ひかりは俺が一緒に寝る事に何にも思っていないのだろうか?
それとも小さい頃のがそのまま上がってきてるのか…?
……いや、別に変に何かを思ってくれなんて事は考えてないからな?
結局俺たち三人一つのベットで寝る事となり……
「それじゃあ、お休み〜♪」
パチンと音がして電気が消える。
………………
何で俺が真ん中なんだ?
両隣にはさやかとひかりがどういうわけか俺のほうを向くようにして眠ってる。
俺……ね、寝れるかな?
ドキドキドキ……
ドキドキドキ………
うがぁ〜心臓がバクバク言って全然寝付けない。
はっきり言ってこんな状況慣れてるわけがない。
むしろ初めてでございます。
「んん…」
ひかり、何故そう簡単に寝付ける。
それに甘ったるい声を出さないでくれ……余計に心臓が……
ちらっ――
「!!!」
ひっひかり! パジャマの上のほうのボタンをちゃんと止めろー! む、胸元が……ッ!
「ん〜…」
反対側を向くと、さやかも何だかんだ言ってちゃんと寝てるし。
……俺も寝たいです。
それにお前もこんな近くで甘ったるい声を―――
「はぁ……」
「!!!!」
がぁっ!! く、首元に、さやかの吐息が!
それに、さやかもさやかで胸元がっ!!
二人ともちゃんとボタンを、ボタンを……!
もう勘弁してくれ〜!!
ギュ…
えぇっ……?
おいおい、二人して俺の腕を同時に掴むな。二の腕に感じる柔らかい感触――ってちがぁ〜う!
それにしても、二人とも結構大きいって、一体俺は何を考えているんだ〜〜〜〜〜!!!!!!
こんな状態で、俺、寝れるかな…?
Next Back