別れるものあれば、出会うものだってあるものだ――――――
それは、番外と言う名の物語。
新たな地での、新たな出会い……
::〜2月のある日の、????〜::
「それじゃあ、入試頑張ってね。俊介」
「姉ちゃんこそ、編入試験頑張れよ。落っこちたら洒落にならないんだからな」
「それは俊介も同じでしょ」
「まぁ、そうなんだけどさ」
「うふふっ、じゃっまた後でね♪」
「あぁ」
編入試験を受ける姉ちゃんとはここで別れる。
にしても、入試と編入試験を同時にやるとは珍しいなぁ。
県が違うと、やり方も違うのかなぁ?
……っと、俺も向かわないと。
「志望校は変わったけど、勉強はしてきたんだ。頑張るぞ……」
ちゃんと受かって、新しい生活をスタートさせるぞ!
「遂に来たね〜、入試!」
「頑張らないと。三人一緒に受かるわよ! 梢、あすか」
「うんっ!」
「もちろん、頑張ろうね」
わたし達は、これから受けようとしている高校の前にいます。
ここまで意気込むのには、ちゃんと理由があるんですよ。
この学校には……お姉ちゃんとそのお友達がいるんです。
わたしの姉、さやか。
隣にいる茜ちゃんと梢ちゃんの兄、尚哉さん。
それと、もう一人。いっくん―――あっ、間違えた。
横浜 一と言う方の三人です。
お姉ちゃんと尚哉さん、いっくんの三人は小学校からの幼馴染で、ずっと同じクラスです。
そして、仲良く高校まで一緒に行きました。
その時一緒にいたわたし達も、後を追いかけるような形になりますが、同じ高校を受ける事に。
だから、三人合格と言う目標の下、一年間の成果を見せる時なんです。
「ねぇねぇ、早く行こうよ〜」
「あっ、ちょっと梢! 走らないの! ……ってダメだこりゃ、聞いてないわね」
「あそこまでリラックスしていると、ケアレスミスとかもなさそうだね」
「だといいんだけど……私達も行こっか、あすか」
「うん」
受験生に設けられた下駄箱で、上靴に履き替えて一路試験会場へ。
一人はしゃいでいる梢ちゃんを見て、茜ちゃんが額に手を当てちゃっています。
梢ちゃん……試験って事、忘れてないよね?
ドンッ!
「あっ……」
誰かとぶつかっちゃった……
「む……角から出てきた人とぶつかっちゃったけど、飛ばされたのは梢だけ…まぁ、相手は男の人だし無理はないかな?」
「あ、茜ちゃん……状況解説してる場合じゃないと思うけど……」
「―――っとと、そうだったわね。梢のところに行かないと」
「ふむ……」
ヤバイな……校内で道に迷っちまった。
知らないところはこれだから苦手なんだよなぁ。
まいったなぁ、もう少しで始まっちまうぞ……
「あっ!?」
「……えっ?」
角から女の子が見えたと思った瞬間―――
ドンッ!
「わっ…と」
軽い衝撃。
どうやら、ぶつかってしまったようだ。
俺はバランスを崩しかけただけで倒れなかったけど、女の子の方は尻餅をついていた。
「いったぁ〜い……」
涙目になって、腰のあたりを手で抑えている。
……って、おいおい! それはいいけど膝曲げて座るなよ。
その……み、見えてるんだってば!!
見ないようにしても目が向いてしまうぅー!
落ち着け……何事もなかったかのように振舞うんだ。いいな、俊介……
「だ、大丈夫か?」
「お尻が痛いよ……」
「ごっゴメンな。俺の不注意で……怪我とかしてない?」
「あっ―――うん。大丈夫……」
「ハイ、手を貸して。立てる?」
「うん……大丈夫。よいしょっと」
俺の手に捕まって立ち上がって、スカートについたよごれをパッパッとはたいている。
と、その子の後ろから二人の女の子が駆けて来た。
「梢、大丈夫?」
「う、うん……」
「廊下は走っちゃダメだって言ってるのに……」
「ゴメンね、あかね……」
「謝るのは私じゃないでしょ。彼に謝らないと」
「うん……ごめんなさい」
ペコッと頭を下げる―――梢と呼ばれた女の子。
ボンボンの付いたゴムで止められた髪の毛が、ピコピコと揺れた。
「あっ、いや。こちらこそゴメン。元はと言えば俺が周りをよく見なかったのが悪いんだし……」
やっぱり悪いのは俺だろ……
あぁ、こんな大事なときに。
梢ちゃんとぶつかった男の子は、明らかにこちらが悪いのに怒りませんでした。
それどころか、これは自分の不注意の所為だと言っています。
「……ふぅ〜ん、結構優しそうな人じゃない」
わたしにだけ聞こえるよな声で呟く茜ちゃん。
確かに――もしこれが他の男の子だったら、きっと叱咤激怒して大変な事になっていたかもしれない。
今の人って、短気な人が多いから。
「……そうだね」
茜ちゃんの言うとおり、いい人なのかも。
「あっ、そう言えばさ、この場所って分かるかな? 実は迷っちまって……」
そう言ってわたし達に見せたのは受験票。
どうやら、試験会場がわからなくて探してるときに梢ちゃんとぶつかったみたいです。
番号は―――2018番。
あれ、この番号って確か………
「あれ、その番号……」
「え、番号?」
「その受験番号の事よ。ほら、私の番号は2017番だから、あなたは私の後ろの席って事でしょ? これなら楽ね。道も教えて上げられて、私達もそのまま行けるし、まさに一石二鳥!」
「助かるよ。ありがとう」
やっぱり……どこかで見た数字だと思ったら、茜ちゃんの次の番号だったんですね。
こうして、男の子一人を加えたわたし達は、受験会場へと向かうのでした。
「あ、ついでだから自己紹介しとくね。これも何かの縁があったって事で……私、穂刈茜って言うの。今さっきぶつかったのが妹の梢で、こっちが……」
「秋津あすかと申します。 よろしくお願いしますね」
「あ、あぁ……こちらこそ。 俺は千堂俊介。引っ越してきたばかりだから、まだ地理も何にも分からんペーペーだけど、よろしく」
そして、自己紹介などをしながら歩いていくと受験会場の教室へと着きました。
もうすぐ本番、頑張らないと…!
「ふぅ〜……」
一時はどうなる事かと思ったけど、なんとか無事会場にたどり着けた。
これもあの子達のおかげだな〜。
頑張れっ、と言いながらガッツポーズをして前を向く茜。
元気いいなぁ……。
「それでは、試験問題を配ります。チャイムが鳴るまで問題は開かないように」
あ、ついに始まるな……。
そういえば―――
梨乃はもう試験を始めただろうか……?
頑張れよ、梨乃……
キーンコーンカーンコーン……
「それでは、始めてください」
戦いの火蓋は切って落とされた―――
カリカリカリカリカリカリ………
「(もう、俊介君も始めた頃かな…?)」
ちらっと腕時計を見て、時間を見る。
ふと、そのまま前の席へと視線を向ける。
座る者のいない空っぽの席。
本当なら、ここに俊介君が座るはずだった。
はずだったのに……
私は、また……独りぼっちになるのかな……?
「姉ちゃんこそ、編入試験頑張れよ。落っこちたら洒落にならないんだからな」
「それは俊介も同じでしょ」
「まぁ、そうなんだけどさ」
「うふふっ、じゃっまた後でね♪」
「あぁ」
編入試験を受ける姉ちゃんとはここで別れる。
にしても、入試と編入試験を同時にやるとは珍しいなぁ。
県が違うと、やり方も違うのかなぁ?
……っと、俺も向かわないと。
「志望校は変わったけど、勉強はしてきたんだ。頑張るぞ……」
ちゃんと受かって、新しい生活をスタートさせるぞ!
「遂に来たね〜、入試!」
「頑張らないと。三人一緒に受かるわよ! 梢、あすか」
「うんっ!」
「もちろん、頑張ろうね」
わたし達は、これから受けようとしている高校の前にいます。
ここまで意気込むのには、ちゃんと理由があるんですよ。
この学校には……お姉ちゃんとそのお友達がいるんです。
わたしの姉、さやか。
隣にいる茜ちゃんと梢ちゃんの兄、尚哉さん。
それと、もう一人。いっくん―――あっ、間違えた。
横浜 一と言う方の三人です。
お姉ちゃんと尚哉さん、いっくんの三人は小学校からの幼馴染で、ずっと同じクラスです。
そして、仲良く高校まで一緒に行きました。
その時一緒にいたわたし達も、後を追いかけるような形になりますが、同じ高校を受ける事に。
だから、三人合格と言う目標の下、一年間の成果を見せる時なんです。
「ねぇねぇ、早く行こうよ〜」
「あっ、ちょっと梢! 走らないの! ……ってダメだこりゃ、聞いてないわね」
「あそこまでリラックスしていると、ケアレスミスとかもなさそうだね」
「だといいんだけど……私達も行こっか、あすか」
「うん」
受験生に設けられた下駄箱で、上靴に履き替えて一路試験会場へ。
一人はしゃいでいる梢ちゃんを見て、茜ちゃんが額に手を当てちゃっています。
梢ちゃん……試験って事、忘れてないよね?
ドンッ!
「あっ……」
誰かとぶつかっちゃった……
「む……角から出てきた人とぶつかっちゃったけど、飛ばされたのは梢だけ…まぁ、相手は男の人だし無理はないかな?」
「あ、茜ちゃん……状況解説してる場合じゃないと思うけど……」
「―――っとと、そうだったわね。梢のところに行かないと」
「ふむ……」
ヤバイな……校内で道に迷っちまった。
知らないところはこれだから苦手なんだよなぁ。
まいったなぁ、もう少しで始まっちまうぞ……
「あっ!?」
「……えっ?」
角から女の子が見えたと思った瞬間―――
ドンッ!
「わっ…と」
軽い衝撃。
どうやら、ぶつかってしまったようだ。
俺はバランスを崩しかけただけで倒れなかったけど、女の子の方は尻餅をついていた。
「いったぁ〜い……」
涙目になって、腰のあたりを手で抑えている。
……って、おいおい! それはいいけど膝曲げて座るなよ。
その……み、見えてるんだってば!!
見ないようにしても目が向いてしまうぅー!
落ち着け……何事もなかったかのように振舞うんだ。いいな、俊介……
「だ、大丈夫か?」
「お尻が痛いよ……」
「ごっゴメンな。俺の不注意で……怪我とかしてない?」
「あっ―――うん。大丈夫……」
「ハイ、手を貸して。立てる?」
「うん……大丈夫。よいしょっと」
俺の手に捕まって立ち上がって、スカートについたよごれをパッパッとはたいている。
と、その子の後ろから二人の女の子が駆けて来た。
「梢、大丈夫?」
「う、うん……」
「廊下は走っちゃダメだって言ってるのに……」
「ゴメンね、あかね……」
「謝るのは私じゃないでしょ。彼に謝らないと」
「うん……ごめんなさい」
ペコッと頭を下げる―――梢と呼ばれた女の子。
ボンボンの付いたゴムで止められた髪の毛が、ピコピコと揺れた。
「あっ、いや。こちらこそゴメン。元はと言えば俺が周りをよく見なかったのが悪いんだし……」
やっぱり悪いのは俺だろ……
あぁ、こんな大事なときに。
梢ちゃんとぶつかった男の子は、明らかにこちらが悪いのに怒りませんでした。
それどころか、これは自分の不注意の所為だと言っています。
「……ふぅ〜ん、結構優しそうな人じゃない」
わたしにだけ聞こえるよな声で呟く茜ちゃん。
確かに――もしこれが他の男の子だったら、きっと叱咤激怒して大変な事になっていたかもしれない。
今の人って、短気な人が多いから。
「……そうだね」
茜ちゃんの言うとおり、いい人なのかも。
「あっ、そう言えばさ、この場所って分かるかな? 実は迷っちまって……」
そう言ってわたし達に見せたのは受験票。
どうやら、試験会場がわからなくて探してるときに梢ちゃんとぶつかったみたいです。
番号は―――2018番。
あれ、この番号って確か………
「あれ、その番号……」
「え、番号?」
「その受験番号の事よ。ほら、私の番号は2017番だから、あなたは私の後ろの席って事でしょ? これなら楽ね。道も教えて上げられて、私達もそのまま行けるし、まさに一石二鳥!」
「助かるよ。ありがとう」
やっぱり……どこかで見た数字だと思ったら、茜ちゃんの次の番号だったんですね。
こうして、男の子一人を加えたわたし達は、受験会場へと向かうのでした。
「あ、ついでだから自己紹介しとくね。これも何かの縁があったって事で……私、穂刈茜って言うの。今さっきぶつかったのが妹の梢で、こっちが……」
「秋津あすかと申します。 よろしくお願いしますね」
「あ、あぁ……こちらこそ。 俺は千堂俊介。引っ越してきたばかりだから、まだ地理も何にも分からんペーペーだけど、よろしく」
そして、自己紹介などをしながら歩いていくと受験会場の教室へと着きました。
もうすぐ本番、頑張らないと…!
「ふぅ〜……」
一時はどうなる事かと思ったけど、なんとか無事会場にたどり着けた。
これもあの子達のおかげだな〜。
頑張れっ、と言いながらガッツポーズをして前を向く茜。
元気いいなぁ……。
「それでは、試験問題を配ります。チャイムが鳴るまで問題は開かないように」
あ、ついに始まるな……。
そういえば―――
梨乃はもう試験を始めただろうか……?
頑張れよ、梨乃……
キーンコーンカーンコーン……
「それでは、始めてください」
戦いの火蓋は切って落とされた―――
カリカリカリカリカリカリ………
「(もう、俊介君も始めた頃かな…?)」
ちらっと腕時計を見て、時間を見る。
ふと、そのまま前の席へと視線を向ける。
座る者のいない空っぽの席。
本当なら、ここに俊介君が座るはずだった。
はずだったのに……
私は、また……独りぼっちになるのかな……?
も ど る