Farewell……3
今日見る青空は、いつもよりやけに眩しく感じた。
謎の中間試験対策が終わって、時間はお昼。
そう、昼飯の時間だ。
総太さん、と少し大きめのバックを持った御菜が俺に声をかける。
頷いてから席を立って二人で教室を後にした。
賑わう廊下を抜けて、階段を上ってく。
上級生がいる階を抜けたら急に人気は途絶え、屋上に上がる頃には皆無だ。
俺と御菜のお昼は、天気がいい日は屋上で食べるのが日課になってきた。
今日も天気が良くてなぁ。むしろ暑いが……まぁそこらへんは気にせずに。
屋上に上がって、更に入り口隣の梯子をのぼる。
最初の教訓以来俺が先に上って、帰るときは後に下りる。
まぁ……たま〜に間違える時もあるけど。そこはそれ。
で、のぼったそこが俺たちの昼飯会場!
シートを敷いて、さぁご飯だ。
「そいじゃ、頂きます」
「いただきます」
もう何度となく言ってることだけど、やっぱ御菜って料理上手いよ。
しかも毎日違うメニューだし。まったく飽きが来ないね。
そんなだから、ついつい食べる早さが…。
「むぐむぐ…」
「総太さん、そんなに早く食べなくてもまだたくさん残ってますよ」
「むぐ……んっ。そうなんだけどなぁ。美味しいからついつい」
「ありがとうございます。食べる早さを言葉と、二度褒められちゃいました」
「いつも美味しいご飯をありがとな。御菜」
「はい。これからも頑張りますね♪」
御菜がニッコリと微笑んだ。
「あっ……ふふっ。総太さん、ほっぺたにお弁当がついてますよ」
ちゅっ
頬に感じる柔らかな感触。
すぐそこに、御菜の息遣いがあった。
「えっ……み、御菜?」
「えへへ…取ってあげました」
ほんのり頬を赤く染めて笑う。
えっと、これは指じゃなくて口で取ったってこと…?
まぁ簡単に言えばキスって感じだよ、ねぇ?
御菜も最近大胆になったなぁ。
やっぱあれか。この間の旅行の時にキスしちゃったからかな。
それ以来回数が少しずつだけど増えてる気がする。
「あ、ありがと」
「いえいぇ。こちらこそ」
恥ずかしさ半分、嬉しさ半分といったところ。
でも御菜はとても嬉しそう。
なんかお昼食べながらかなりいちゃついてる様にも見えるけど……
いいよな? 別に誰も見てないし。うんっいいんだ。今ここで俺たちさえ幸せなら!
「そうたさん」
「ん、なに?」
「いいえ〜。ただ呼んでみただけですっ」
「あらら…」
こんな感じでお昼ご飯を食べ終えた。
まだまだ昼休みは残ってる。
俺たちはすぐには戻らないでギリギリまではここにいる。
食後の休憩ってやつかな。
水筒に入れてきたお茶を飲みながらのんびりしてる。
もちろん入ってるのは冷たい麦茶。
さすがにこの時期になって熱いお茶はこたえるからな……。
いつもは普通に話してたけど、今日は少し違ってた。
やっぱ、さっきのコトが影響してるのかしてないのか。
「のんびり、だな」
「そうですねぇ」
「誰もいないから静かだし。更にのんびりできるってもんだ」
「のんびり星人さんですね〜」
「だなぁ」
「総太さん。もっとのんびり、しますか?」
「と、言うと?」
「こういう事です〜」
と、急に視界が反転。
御菜の、失礼しますって言う声と共に、後頭部に柔らかな衝撃。
いや、衝撃って言うより感覚?
目を開けようにも、空を向いてるらしく太陽がまぶしくてあけられない。
思わず避けようと首を動かした。
ふと眩しさがなくなりそっと目を開けてみると……。
「あ…………」
うん。目の前だ。
すでに自分の頬が御菜の太股に密着してることもさることながら、更にその奥……まー簡単に言えばスカートの中。男子禁制の真っ白な楽園がハッキリと……
…おれ、何言ってるんだ?
「? どうかしましたか?」
「あぁ、いや……」
何気ないふりをしながら顔をまた上に向けた。
今度は御菜が太陽を隠すように身体を傾けてくれたから大丈夫。
更に、誰もいないからここぞと言わんばかりに広げた大きな羽。
これらですっかりまぶしい光もさえぎってくれてる。
太陽を浴びて、御菜の顔や身体周り、そして羽が白く光って見える。
神々しい何かって言うの?
そんな雰囲気を感じられた。
「総太さん、気持ちいいですか〜?」
「あぁ……それに、のんびりって言うか安らぐ」
「そうですか〜」
御菜もとても幸せそう。
真っ白な羽がふんわりと風に揺れた。
なんだろう。こう、枕じゃ体感し得ないような初めての感覚。
膝枕ってこんなに気持ちいいんだ……
気がつけば、暑いのとかそんなのがキレイサッパリどこかに吹き飛んでいた。
御菜に膝枕してもらいながら、学校の屋上で、こうしてのんびりと。
風がふくと、御菜の長い髪の毛からほんのり香るシャンプーのにおいを鼻で感じながら……。
「みな〜」
「はい」
「ありがとな……重くないか?」
「いいえ〜。大丈夫です。それよりも今は幸せのほうが上回ってますから」
「そっか。俺もおんなじだよ。すげーしあわせ」
「せっかくのお昼休みですから、ゆっくりとくつろいで下さいね」
「あぁ……」
すぐ上にある御菜の顔。
そっと左手で頬に触れた。
力を入れるわけでもなく、そっと俺の方へ引くと、御菜もそれを待っていたかのように力を抜いて身体を俺の方へと傾けた。
あの旅行以来俺たちの間には新しい空間が生まれていた。
キスを交わすって言う行為が――――
「御菜……」
「総太さん……」
昼休みを終えるチャイムが鳴り響くまで、俺たちは少しの間だけの幸せをかみ締めていた。
本当に、幸せなひと時だったんだ。
つづくっ!
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