Farewell……2
御菜と一緒に家を出て、半袖の制服を夏の日差しに照らされながら通学路を歩く。
今まで当たり前にやってきたことを、じっくり考えたことがあるだろうか…。
ドアから一歩出たとたんに感じるこの暑さ!
まだ朝だってのに今日はまた一段と暑いな……。
そんだけ夏が近いってコトかね。
この間行った旅行の時も暑くは感じてたけど、今のほうが増してる気がする。
もう一週間が過ぎちゃったしなぁ。
そういや、あと少し学校行けば今度は夏休みじゃん。
あぁ……待ち遠しくてしょうがない。
高校最初の夏休みだ。
しかも俺には御菜もいる。
一体何して過ごそうか……。
そんな事を御菜と話しながら学校へと歩いてく。
会話は違えどいつも通りの朝だった。
夏は海やプールへ行こう。なんて話をしてるうちに学校へ到着。
クラスメートに声をかけながらぞろぞろと教室へ。
さっきも言ったけど、夏休みが近い。
そのせいか、校内もどこか賑やか。
きっと俺たちと同じようなことを話してるんだろう。
みんな楽しみ夏休み、だ!
「総太総太! 聞いてくれっ。実はまた今朝…………」
教室に入るなり飛び込んできたは彰の大きな声。
俺が入った瞬間に声かけるとは、あいつはエスパーか?
驚いちまっただろうが。
「あーはいはい。どうせ可愛い〜子でも見たって話だろ?」
「そそそそそ。しかも今回のはまた実にレアだ」
びしっと人差し指を立てて言う。
もうこれでもかってくらいに元気がいい。
どうしてこう彰は見ただけで元気いいんだろうな。
声くらい掛けりゃいいのに。
っと、でも御菜にだけは掛けるなよ。
「――――ってワケよ。な? 凄いだろ!」
「あー、まぁな。それを堂々と教室で言えるお前が凄い」
「あははははは………同じく、そう思います…」
御菜も困ったような表情を浮かべてる。
そんなの気にせず話す彰。
後ろでは悠也と秋伸が揃って手を合わせてる。
ご愁傷様ってか……はぁ。
そんなこんなで、彰は自称レアイベントを先生が来るまで話し続けた。
『それで、ここかこれに掛かってるワケだから…………』
右から左に抜ける先生の声。
それはきっと俺だけじゃあるまい。
真面目に聞いてるのもあれば聞いてないものあり。
簡単に言うと御菜が真面目に聞いてて、俺たち4人は聞いてなく…。
あぁ、ホントどうしたものだろ。
コレでもかってくらいにいつも通りを貫いてる気が。
なんだかなぁ。
今日は妙にいつも通りってのを気にする。
普段はそんな事考えもしないのに。
そしてな〜んでか、胸騒ぎがするんだよなぁ……。
「………………」
「じゃあここの文を、磯原読んでみろ」
「………………」
「磯原。おい、磯原っ」
「………え? あ、ハイッ」
「俺が今何言ったか聞いてたか?」
「あぁ〜いやその。まァ何ていうか、耳から漏れたというか聞き流してたというか」
「おいおい……嘘つくよりかは良いが、そこまでハッキリと言われるとさすがに先生も凹むぞ? 見なくてもいいが聞くだけはしてくれ」
「は、はぃ……すいません」
どっとクラスに笑いが漏れる。
き、急に声かけられたものだから思わずキケンな単語が飛び出してしまった…。
普通だったら怒られるよなぁ。
せ、セーフ?
「総太さん」
「ん、なに御菜?」
「ちゃんと授業を聞いてないとダメですよ〜」
「あぁ…すまん。ついつい考え事をね。そんで思わず本音が出た」
「もう少しで終わりますから。それまでの我慢です」
「うぃ〜」
「総太さん。ファイト、ですよっ」
御菜に励まされた。
総太の気力が少しアップしたような気がした?
「こら〜今度は高麗もか。頼むから俺の話をだなぁ……」
再び笑いが起こる。
思わず通常モードで話してたもんな。俺たち。
失敗しちゃった、と言った感じに御菜がペロッと小さく舌を出した。
こういう仕草もまたすっごく似合うよなぁ。
「磯原〜! 高麗をじっと見つめるなぁ。見るなら前を見ろ俺を見ろ〜!!」
「先生ぇ〜。その発言はキケンに匂いがプンプンします〜」
誰かのその発言で、教室は更に笑いに包まれた。
「わかった、もう分かったから! 今のは俺の発言ミスってことでもいいから。頼むから授業をさせてくれ」
賑やかなクラスに先生の悲痛?な声が混ざっていった。
きっと先生、漫画とかで言ったら目の横幅いっぱいに涙流してるんだろうなぁ。
本日の一時間目は、何やら賑やかムードで流れていった。
そのまま続いていくかと思いきや、次からは普通に過ぎていく。
まぁ、四時間目の担任の授業の時は相変わらずだけど……
だって、マッキーだし。ねぇ?
「ほんじゃまぁ、今日もはんなり授業やるかぁ。寝たいやつは遠慮なく寝ていいからな」
そう言いながら黒板にキコキコ文字を書いていく。
中間試験対策……? なんで9月にやるのを今に?
って言うか今やったら8月で忘れそうな気もするが……。
俺と同じような考えを持ったのか、後ろの方から声が上がった。
「マッキー。なんで今から試験対策なの〜?」
「ちょっと早くない?」
「いやいや。早いなんてことはないぞ。まとめや対策をしておけば試験で困らずにすむだろ?」
を? なんかマッキーが珍しく良いことを言ってるなぁ。
いつもはちゃらんぽらんだけど、テストだけは…………
「だから、対策としてこの教科の中間の問題を配っとくから。各自それ見て暗記もしくはできるようにしておけよ〜」
「………………」
なんの迷いもなく普通に言い切るマッキーの発言を聞いて、教室中が一気に静かになる。
………………は?
テスト…問題?
って、えぇーっそんなの配っていいの?!
いくらなんでも早すぎってかなんで今もうあるわけ。
「あぁそうそう。一言言っておくけどな。一応出来てはいるけどこれまだ完成ってワケじゃないんだ。これから減るかもしれないし増えるかもしれないし、はたまた全部違ったりするかもしれないから。その辺りは頭に入れといてくれよな」
……をい。
まぁ、いかにもマッキーらしい感じのイベントだけどさぁ。
それでも、こんな感じの問題が出るんだぞ〜って言うのが分かるから良いと言えばいいけど。
テスト問題を知ってるテスト勉強……初めてだ。あたりまえか。
こりゃあテストが楽に――――
「んじゃあまずは第一問目の答え。選択肢は“ウ”だ」
「マッキー。プリントには“ア”って書いてあるけど?」
「ん? じゃあそれはダミーだな。って言うか問題と回答をよく見てみろ。あからさまに答えが違うだろ? 書いてあることが真実とは限らないんだぞ〜」
………………。
これ、本当に信じちゃっていいのかな。
「じゃ次〜」
マッキーの答え合わせ?が続いてく。
しかしほとんどが違う答えに。
結局合ってないじゃん!
でも、これで答えを知ったってことになるんだよ……なぁ?
9月のテスト……この教科だけがすごい事になりそうな。
つづくっ!
| N e x t | T o p |